静岡新聞
2019年8月30日(金)08時39分

「証人の警部補が偽証」 弁護士が静岡地検に告発

 覚せい剤取締法違反事件の裁判に証人として出廷した静岡県警の男性警部補が虚偽の証言をしたとして、弁護人の内山宙弁護士(静岡市駿河区)が29日までに、偽証の疑いで男性警部補を静岡地検に刑事告発した。同日、内山弁護士が県庁で会見し明らかにした。
 警部補は同事件の捜査を担当。公判の証人尋問で、2018年5月に別の男を逮捕した際「被告に覚醒剤を注射された」との供述を得て捜査を始めたと述べたが、開示証拠には同年2月に取得した被告の住民票があった。警部補はその後、2月に被告の捜査を始めたことを認め「情報提供者を守ろうと思った」と事実と異なる証言の理由を説明した。
 被告の男は同年7月、別の男に覚醒剤を注射した容疑で逮捕され、その際の尿検査で発覚した覚醒剤使用の罪に問われた。弁護側は逮捕や捜査の手続きに「重大な違法がある」と無罪を主張。検察側は「捜査に問題はない」と懲役3年を求刑している。静岡地裁は29日に判決公判を予定していたが、追加の証拠提出を受け9月9日に延期した。
 会見で内山弁護士は「警察官が法廷で虚偽の証言をして何の処分もされないのでは刑事司法に対する国民の信頼を失う」と指摘。同地検の北薗信孝次席検事は「警部補の証言内容は把握しているが捜査中のためコメントを控える」とし、県警刑事企画課は「告発は聞いており調査を進める」とコメントした。