NHK NEWS WEB
2018年11月30日(金)18時12分

GPS捜査で偽証の疑い 警視庁の警部ら4人を書類送検

窃盗事件でGPS端末を使った捜査をしていたにもかかわらず、担当の捜査員が裁判で「使っていない」とうその証言をしたとして、証言を指示した警視庁の51歳の警部など合わせて4人が、偽証の疑いで書類送検されました。警視庁は4人を停職6か月などの懲戒処分にしました。

書類送検されたのは、警視庁刑事部で窃盗事件の捜査に当たっていた51歳の警部と、部下だった33歳と29歳の巡査部長など合わせて4人です。

警視庁によりますと、4年前の窃盗事件で警視庁がGPS端末を使った捜査を行いましたが、起訴された被告の裁判の中で捜査に当たった巡査部長2人が「使っていない」とうその証言を行い、上司の警部が指示していたとして、それぞれ偽証の疑いが持たれています。

警部は、裁判の前に巡査部長から相談を受けていましたが、「使っていないで通せ」などと指示していたということです。

これまでの調べで、当時、警察庁の通達などでGPS端末を使った捜査について秘密を徹底するよう求められていたことが、背景にあるとみられています。

警視庁によりますと、いずれも容疑を認め、上司だった警部は「GPS端末を使ったことが明らかになると、今後の捜査に支障が出ると思った」などと話しているということです。

警視庁は、証言を指示した警部を停職6か月にするなど4人をいずれも停職の懲戒処分にしました。

警視庁は「警察官としてあるまじき行為で再発防止に努めたい」とコメントしています。


捜査をめぐる動き

この事件の被告は、4件の窃盗などの罪で起訴され、1審で懲役3年の実刑判決を言い渡されていましたが、偽証の疑いが明らかになったあとの2審では、「令状のないGPS捜査による証拠は、証拠能力が否定される」として、このうちの2件について無罪が言い渡されました。

GPS端末を使った捜査を巡っては、最高裁判所が裁判所の令状がなければ、違法だという判断を示して新たな法律の整備を求めたため、警察庁はGPS捜査を控えるよう全国の警察に指示しています。