YOMIURI ONLINE
2018年05月23日(水)09時05分

当てた3億馬券申告せず脱税、市職員を懲戒免職

 大阪府寝屋川市は22日、インターネットで購入した馬券で当てた約3億円を申告せず、約6200万円を脱税したとして所得税法違反で有罪判決を受けた同市職員の被告(48)を懲戒免職処分とした。

 同被告は元税務室課長。起訴休職中の今月9日、大阪地裁で懲役6月、執行猶予2年、罰金1200万円を言い渡され、控訴中。市人事室は「納税者の模範となるべき立場でありながら、市役所への信用を失墜させた」としている。

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税理士ドットコム
2018年06月07日(木)08時46分

「3億円馬券」脱税で市役所職員が懲戒免職…税務署から「逃げ切り」図るのは危険

ネットで購入した馬券で当てた約3億円を税務署に申告せず、約6200万円を脱税したとして所得税法違反で有罪判決を受けた市役所の職員(被告人)が、5月22日に懲戒免職処分になったと読売新聞などが報じた。

 報道によると、被告は大阪府寝屋川市の元税務室課長で、寝屋川市は「納税者の模範となるべき立場でありながら、市役所への信用を失墜させた」(人事室)とコメントしている。ネットでは「むしろよくそんな金額を当てた」「羨ましい」などといった反応が相次いだ。

 毎日新聞の報道によれば、元課長は2012年と2014年に、日本中央競馬会が指定する5レース全部で1着を当てる「WIN5」の馬券を買って的中し、あわせて約3億円を得たが、課税対象の約1億6300万円の申告をしなかった。大阪地裁は5月9日、懲役6カ月・執行猶予2年、罰金1200万円の有罪判決を言い渡し、元課長は控訴しているという。

もし元課長が税理士に相談していたら、どのような申告がされていただろうか。競馬のプロ騎手を目指した経験がある水村耕史税理士に、実務に沿った話を聞いた。


●配当金は「一時所得」、確定申告・納税が必要

ーー本件についてどのような感想を抱きますか

「なんともうらやましい限りです。もし本件で被告となった市役所職員の方から事前に相談を受けていたら、必ず確定申告が必要ですと答えますね。競馬の配当金(いわゆる勝った金額)についてはいろいろ誤解をされている方が多いです。

 今回の事例に沿って解説をしていくと、このケースの配当金は一時所得となります。一時所得には50万円の特別控除額がありますが、今回のケースではこの特別控除額を大きく超えた利益が発生しているため確定申告・納税は必要なのです」

ーー競馬で勝っても、税務署にはバレないだろうと考えられる方は多いのでしょうか

「競馬場や場外馬券場で馬券を購入すると配当金を直接現金で受け取れるからバレないとか、IPATなどの電子投票の場合は履歴が残るからバレるとか、そんなことが言われることはあるようです。もちろん申告が必要なのは言うまでもありません。バレないだろうから大丈夫だと考えるのはやめましょう」

ーー馬券の扱いをめぐっては注目判決が2017年12月にありましたね

「はい。その最高裁の税務訴訟では、外れ馬券も経費になるという判決が出ました。この時は、一時所得ではなく雑所得だとして、外れ馬券は必要経費として認められました。ただ、競馬予想とはかけ離れた次元で、機械的に馬券を買い続けた場合に限られます。

toto(BIGを含む)と宝くじについては、配当金(当選金)に課税がされませんが、競馬・競艇・競輪などの公営ギャンブルは課税されますので注意が必要です」

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YOMIURI ONLINE
2018年11月07日(水)15時27分

ネット馬券で6200万円脱税、2審も有罪判決

 インターネットで購入した馬券で当てた約3億円を申告せず、約6200万円を脱税したとして所得税法違反に問われた元大阪府寝屋川市職員・中道一成被告(48)(懲戒免職)の控訴審判決で、大阪高裁(樋口裕晃裁判長)は7日、懲役6月、執行猶予2年、罰金1200万円とした1審・大阪地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

 1審判決によると、中道被告は日本中央競馬会(JRA)指定の5レースの1着馬を全て当てる「WIN5」をネットで購入。2012、14年に的中させ、金融機関の口座に振り込まれた配当を税務署に申告せず、脱税した。追徴税額は約9000万円で、被告は既に納付している。

 競馬場の窓口で配当を受け取る場合、ネット利用者と比べて所得を把握されにくく、弁護側は「不公平な起訴だ」などと主張したが、今年5月の1審判決は「脱税行為があった以上、起訴は検察の裁量の範囲内」と退けていた。