NHK NEWS WEB
2018年2月10日(土)5時13分

雪に埋もれ死亡の男性 110番するも警察が道路管理者に伝えず

福井県坂井市の国道で今月7日、雪に埋もれた車の中で一酸化炭素中毒で死亡した男性が「身動きが取れない」と警察に通報しましたが、その情報は道路を管理する福井県に伝えられていなかったことが県と警察への取材でわかりました。県は「連絡があれば対応できた可能性がある」と話しています。

記録的な大雪となった今月7日夜、福井県坂井市の国道364号線で雪に埋もれた車の中で、富山県の19歳の男性が一酸化炭素中毒で死亡しているのが見つかりました。

男性はその9時間ほど前に「雪山に乗り上げ動けない」と110番通報し、これに対し警察は「除雪業者が向かっているので待っていてください」と伝えたということですが、警察はその情報を道路を管理する福井県に伝えていなかったことが県と警察への取材でわかりました。

県などによりますと、本来、大雪での立往生などの情報は警察から道路管理者に連絡する運用になっているということです。

また、この現場の近くではほかにも車が立往生し、県から委託を受けて除雪作業をしていた業者が通報からおよそ4時間後に偶然、雪に埋もれた男性の車を見つけていましたが、外からは車の中の人の姿は見えず、別の車の除雪作業のためその場を離れたということです。

道路を管理する県三国土木事務所はNHKの取材に対して、「男性からの通報について連絡を受けていれば対応できた可能性がある」と話しています。

福井県警察本部は「この日の午前中に現場近くからあった2件の立往生に関する通報については福井県に連絡をしていたが、死亡した男性からの通報については連絡をしていなかった。詳しい状況やいきさつを調べて今後の対応を検討したい」と話しています。

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NHK NEWS WEB
2018年2月27日(火)17時25分

救助要請も県警出動せず 大雪で男性が車内で死亡の事故で 福井

記録的な大雪となった福井県坂井市で今月7日、雪に埋もれた車の中で男性が一酸化炭素中毒で死亡した事故で、男性の母親が警察に電話で繰り返し救助を求めましたが、警察が現場に出動していなかったことが警察と母親への取材でわかりました。福井県警察本部は「重大な結果が生じたことをしんしに受け止めている」としています。

今月7日、坂井市の国道364号線で、雪に埋もれた車の中で19歳の男性が一酸化炭素中毒で死亡しているのが見つかりました。男性は発見される9時間ほど前の午前9時20分すぎ、「雪山に乗り上げて動けない」と110番通報し、警察は近くに向かっている除雪業者を待つよう伝えたものの除雪業者を手配する県には通報内容を連絡していなかったことがわかっています。

さらにこの日、男性の母親が車の中にいる息子から携帯電話で連絡を受け、福井県警察本部の窓口に電話で繰り返し事態を伝え救助を求めたものの、警察が現場に出動せず、救助されたかどうかも県に確認していなかったことが警察と母親への取材でわかりました。

福井県警察本部によりますと、この日、母親からは午前10時ごろ、正午ごろ、午後4時半ごろの少なくとも3回本部に電話があり、通信指令課などで対応して、3回目は県の災害対策本部に連絡するよう伝えたということです。

これについて、福井県警察本部は「男性から通報を受けた際、エンジンを止めていることを確認し、母親からの電話も車の周りの除雪を求めているものとして緊急性が低いと判断した」と説明しています。そのうえで、「このような重大な結果が生じたことについてはしんしに受け止めており、今後はこれまでにも増して雪害への対応に万全を期します」としています。

母親はNHKの取材に対して「息子の命に危険を感じ、『助けてほしい』と警察に通報しました。担当者から状況を確認すると言われましたが連絡はなく、何度も通報しました。警察はもう少し親身に対応してほしかった」と話しています。


途絶えた息子からのメール

富山県に住む母親によりますと、息子からの最初の連絡はメールで、7日の午前9時すぎでした。メールには「JAFが全然来ない」と書かれていました。

このあと、母親の携帯電話に息子から電話があり、母親は車が動けなくなってすでにおよそ9時間たっていることや、ガソリンが残り半分ほどで食料を十分に持っていないことを聞き、110番通報するよう伝えました。

男性は警察に通報し、午前9時45分と47分には母親にメールで「警察に電話した」、「いま除雪車来とるらしいけど何時に来るかわからん」と伝えてきました。そして、午前11時37分、「じぶんの後ろのほうにも見えてないけど車あるんやって」と記されたメールが送られてきたのを最後に、連絡がとれなくなったということです。


男性の母親「裏切られたという気持ち」

死亡した男性の母親はNHKの取材に対して「7日の午前9時すぎに息子と電話で話した時点で車が動けなくなってからおよそ9時間たっていたので、助けてほしいという思いで警察に通報しました。警察の担当者から『除雪車が向かっているので確認が取れたら連絡します』と言われて安心しましたが、連絡がないので再び警察に通報したら、『確認中』という返答ばかりで4、5回ほど通報しました。息子にメールやラインを送っても読まれた形跡がなく、『こうした間に死んだらどうするんだ』と激しい口調でも伝えました。除雪車だけでなく、警察の担当者も現場に向かっていると思っていたので、裏切られたという気持ちがあります。警察からすると大雪で大変な状況の中でたくさんかかってきた通報の1つだったかもしれませんが、もう少し親身に対応してほしかったです」と話しています。


県警本部「重大な結果が生じたことを真摯に受け止める」

福井県警察本部はNHKの取材に対して「お亡くなりになられた男性に心よりご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に対してお悔やみを申し上げます。福井県警察では、男性から車両スタックの110番通報を受けたあとに、この男性に電話連絡するなどしていたところですが、このような重大な結果が生じたことについては真摯(しんし)に受け止めております。今後は、一酸化炭素中毒の注意喚起、道路管理者との緊密な情報交換を含めこれまでにも増して雪害への対応に万全を期してまいります」としています。


県警本部長「真摯に受け止める」

福井県警察本部の滝澤幹滋本部長は、27日開かれた県議会の全員協議会の中で「亡くなった男性に心よりご冥福申し上げます。男性からの通報のあとに何度か電話での連絡を試みましたが、このような重大な結果となったことを真摯(しんし)に受け止めています。一酸化炭素中毒の危険性の問題や道路管理者との連携の問題など課題は多々あるがクリアして雪害の対応を万全にしたい」と述べました。


県警が再発防止策

今回の問題を受けて福井県警察本部は、大雪で車が立往生したという通報があれば、県などの道路管理者に車種や車のナンバーなどをすべて伝え、除雪の要請を徹底するよう県内の各警察署などに指示したということです。警察として、おおむね1時間おきに立往生した車の除雪の状況を道路管理者に確認し、情報共有も徹底するとしています。