岩手日報
2017年12月22日(金)

誤って被害者の転居先通知 北上市職員、加害者に

 北上市は21日、暴力や虐待などの迷惑行為から逃れるために転居した被害者の住所を、市生活環境部の男性職員が誤って加害者に知らせたと発表した。被害者は再転居し、加害者との接触による被害は確認されていないが、この職員を戒告とした。このほか、窃盗容疑で逮捕、起訴された男性臨時職員を免職に、不適切な事務処理を行った男性職員も戒告にする懲戒処分も発表。市民からの信頼を裏切る相次ぐ行為に、法令順守の取り組みが厳しく問われそうだ。

 市によると、同居者から迷惑行為を受けていた被害者は7月、住民票などの交付、閲覧に関し、加害者からの請求を制限する支援措置を市に申し出た。住民異動届を提出したが、男性職員は支援措置対象者と気付かずに、旧住所宛てに住民異動届受理の通知書類を送付した。

 加害者が8月に市役所を訪れ、通知書類の内容を問い合わせた際、同じ職員が対応し、誤って被害者の転居先住所が記載された書類を見せた。職員はその日に誤りに気付き、被害者を緊急避難させた。その後、被害者は再転居を余儀なくされ、約20万円の費用を市が賠償することで示談が成立した。