大分合同新聞
2017年9月23日(土)

暴力団親交者に数十万円 中津署員貸し付け

 大分県警の不祥事がまた明らかになった。中津署員の窃盗事件を調べていた県警は22日、覚醒剤だと思い込んだ粉末を吸引していたなどとして、同署刑事課の20代男性巡査長を停職3カ月、豊後高田署地域課の20代男性巡査長を戒告の懲戒処分とし、県庁で緊急の記者会見を開いた。工藤秀幸首席監察官は「極めて重く受け止めている」と謝罪。2人は同日付で依願退職した。

 県警監察課によると、2人は警察学校の同期。

 中津署巡査長は今年7月30日、豊後高田市内の知り合いの夫婦方から置き時計と灰皿(計200円相当)を盗んだ疑い。リサイクルショップに売ろうとした。夫婦からの相談で発覚。今月20日に窃盗容疑で書類送検した。

 捜査の過程で中津署巡査長の携帯電話を調べたところ、約2年前から上司に報告せず、暴力団親交者と接触していたことや粉末の使用が分かった。

 暴力団親交者には昨年夏から今年7月中旬まで数回にわたり、現金計数十万円を貸し付けていた。巡査長は「情報源として投資しているつもりだった」などと釈明。粉末は「今年1月に大分市内の商業施設の駐車場で拾った。ポリ袋に入っており、形状から覚醒剤ではないかと思い、興味本位に自宅で使った」と説明したという。

 粉末の一部は今年2月下旬ごろ、豊後高田署巡査長に渡していた。この巡査長も粉末を使ったほか、知人女性と不倫したり、交際費などのため同僚の警察官数人から借金を繰り返していた。

 県警は「中津署巡査長が親交者に捜査情報を漏らすことはなかった。粉末は豊後高田署巡査長の自宅倉庫に残っていたが、鑑定で違法な成分は検出されなかった」とした。

 2人は2010年に採用され、今年で8年目。それぞれ「被害者だけでなく組織、県民の皆さんに迷惑をかけ申し訳なかった」などと述べたという。

 芦刈宗治中津署長と桑原雅友豊後高田署長は「署員が不祥事をおこし、遺憾に思っている。職務倫理教養を徹底する」とコメントした。


県警、昨年から10人処分

 県警では昨年から、別府署の隠しカメラ事件や宇佐署員の交通違反もみ消し事件などの問題が相次いで発覚。昨年から今年にかけて懲戒処分した警察官・事務職員は、今回の2人を合わせて10人に上る。

 県議会文教警察委員会は22日、臨時の委員会を開き、県警の報告を受けた。元吉俊博委員長は「どこかでたがが外れているのではないか。県民に対して県警の信頼を揺るがすことになる」と徹底指導を求めた。

 県警監察課によると、不祥事の再発防止に向け、職務倫理教養や適正な職務執行の指導などに組織を挙げて取り組んでいる。今回処分した巡査長は「再発防止の取り組みは分かっていたが、認識が甘かった」と話したという。

 松坂規生県警本部長は委員会終了後、記者団に「これをやればよくなる、という特効薬はない。引き続き対策に取り組む」と答えた。