2017年6月2日(金)11時32分 中日新聞 CHUNICHI Web

愛知県警警官、情報漏えいか 金塊窃盗、通信傍受で発覚

 福岡市博多区で昨年7月、約7億5千万円相当の金塊が盗まれ、名古屋市の男ら10人が福岡、愛知両県警に逮捕された事件で、愛知県警の警察官が逮捕前の容疑者と電話でやりとりしていたことが2日、分かった。福岡県警が携帯電話の通信傍受で把握。今年3月には金塊の換金に関与した容疑者の関係先を家宅捜索しており、関連情報がその前に容疑者側に漏れた疑いがあるとみて愛知県警に伝えた。

 愛知県警監察官室は2日、調査を始めることを明らかにした。

 捜査関係者によると、福岡県警は今年に入り、現場付近の防犯カメラ映像などから割り出した一部の容疑者の携帯電話を通信傍受し、やりとりを確認した。家宅捜索が行われた3月には、容疑者の一部が計1億6千万円の示談金支払いを被害者側に持ち掛けており、福岡県警は情報をきっかけに逮捕を免れようとした可能性もあるとみている。

 福岡県警は、主犯格とみている野口和樹容疑者(42)=名古屋市千種区=ら6人が実行役で、中垣龍一郎容疑者(40)=愛知県日進市=が金塊取引の情報提供者と実行役をつなぐ仲介役、残り3人は換金役だったとしている。

 通信傍受法は組織犯罪の解明を目的に、薬物・銃器犯罪、集団密航、組織的殺人の4類型に対象を限定して2000年8月に施行。16年末からは組織性が疑われる窃盗や詐欺、放火などでも適用可能になった。

 福岡、愛知両県警は今年5月22日以降、10人を窃盗容疑などで逮捕。野口容疑者らの逮捕容疑は、昨年7月8日、警察官を装い、アタッシェケースに入れた金塊を運搬中だった男性らに「密輸品だろう」と話し掛け、ケースを車に積み込み逃げた疑い。